2019年 
紡音(つむね)プロジェクト
2019年 
紡音(つむね)プロジェクト

2019年は、「音」から見えてくる六本木をテーマに、アーティスト・西原尚を迎えて活動を行いました。コアメンバーたちが集まる定期的な活動では、六本木の生活にまつわる象徴的な音や逸話について共有する時間や、日々の生活の音の採集(サウンドスケープ)をするワークショップを行う、身近な素材から実際に楽器を作るなど、様々な角度から音と人、街の関係を考えました。 つむぐプロジェクトでは、「六本木アートナイト2018」を多くの方々に六本木のリアルをアートを通じて伝える機会と捉え、2018年度の活動としては、コアメンバーが自らを演じる「六本木紡ぎ歩き」と寸劇「六六の日々」の2部構成のパフォーマンスアートとして紡音プロジェクトとして発表しました。


Photo1,2,3,6:Wanibe Haruo  
Photo4,5:Tayama Tatsuyuki
アーカイブ映像
紡音プロジェクト

ー「六本木紡ぎ歩き」「六六の日々」ー

PLAY
【プロジェクトの活動詳細】

「六本木紡ぎ歩き」は、コアメンバーのほか六本木安全安心パトロール隊、スターバックス、朝日神社、六本木をきれいにする会の協力も得て、総勢22人で作られたパフォーマンスとなりました。自分自身を表現する格好や六本木を象徴付ける装いで、足首につけた鈴、そして手作りの縦笛などで音色を奏でながら、六本木の街中に溢れる人々の視線を浴びながらゆっくりと練り歩きました。

六本木五丁目の出発点から六本木通りを歩き、朝日神社を経由し、六本木ヒルズ内へ、チンドン屋のような役割にもなりながら、寸劇「六六の日々」の会場となった六本木ヒルズ カフェ/スペース(以下ヒルズカフェ)に入場し、劇の幕開けへとつなげました。
会場で待ち受けていた黒子役のコアメンバーが座席となるゴザを敷いて鑑賞者を招き入れると、六本木六丁目(通称:六六/ろくろく)でのたわいのない生活を垣間見る劇「六六の日々」は、無言で編み物をする演目が合図となり開幕。「音」という起点から紡がれた六本木の生活のエピソードを伝える劇ができあがりました。

制作ノート
第1部「六本木紡ぎ歩き」
日時
2019年5月25日 20:00~ 21:00(六本木三丁目 相鉄フレッサインホテル角スタート)
2019年5月26日 10:00~11:00(東京ミッドタウンスタート/六本木をきれいにする会×六本木クリーンアップの清掃活動と共に)
目的
・アートプロジェクトがきっかけとなり、六本木ヒルズだけでなく、六本木周辺エリアの方々のつながりをつくる機会となること
・つむぐプロジェクトの活動を少しでも多くの人に知ってもらうこと
・六本木ヒルズの外にでることで、ヒルズにあまり来ない・関心がない層にもつながりを生むこと
・「音」という手法や会話を通じた表現・交流の場をつくり、「人と人、人とアート、人と街」をつむぐこと
キーワード
練り歩き、パレード、囃す、歩く、静 など
概要
つむぐプロジェクトのコアメンバーと、安全で、安心がある六本木という街を育む自治活動に関わる個人、グループ(掃除、パトロールなど)と協働し、六本木の「夜」と「昼」街を練り歩くパフォーマンスを行う。夜の部では、「静」、「日常・生活」をコンセプトの中心におき、賑わいのある六本木の夜道を、音と歩く行為を元に制作されたパフォーマンス作品を展開する。あえて六本木に生活し、深く関わるからこそある日常の「静」に焦点を置き、六本木の固定されたイメージ(繁華街/騒がしい、無機質、自然がない、生活が見えない、など)をあらめて考えるための状況・時間をつくることで、多様な彩りをもつ六本木、六本木ヒルズのコミュニティの姿を共有する機会とする。コアメンバーをはじめ、実際に地域で活動する人や、関わりをもつ人が参加し、彼ら自身が演者(パフォーマー)行列となって街を歩く。
内容・編成
「静」を表現するための
・音とは何か?
波動、振動、無音、沈黙、環境に応じた静けさなど、いかに音の解釈を深めて、「静」という状況を街中で作るか?
・「囃す(はやす)」リズム・メロディは?
それぞれの楽器の特徴を活かしながら、静けさを表現するメロディ、音づくりとは?
・歩き方とは何か?
歩く速度、姿勢、目線によって、伝わる感情が変わる。
・装いは?どのような格好(衣装)をすることで、コンセプトが伝わるか?
・規模は?
何人で構成することで、コンセプトが伝わるか?
演者=パフォーマー(案)
自分自身を演じることから構成されるパフォーマンス。自らが作品でもある。コアメンバー、パトロールを行っている人、警察官、消防士、近隣の学生、ワーカー参加、協働でパフォーマンスを構成する。 Reference: Performance art (自分自身の身体が作品となる概念) 道具
楽器
(前提:街・コアメンバーから集めたものでつくる)
・縦笛(みんなが作ったもの)
・拍子木
・鈴
・たたくもの(タンバリン、太鼓など)
課題:すべてて手作りか? 既存の楽器も取り入れるか?
小道具
・LEDテープ(原案:まといのデザインにつかう、街で収集した音でLEDを稼働させる、パレード中街の音をそのまま拾う、演奏者の音を集めるためのマイクとして活用する、など)
・纏*(まとい)*江戸時代に町火消の各組が用いた旗印の一種
・山車(紡木プロジェクトで作った土台を再活用)
・その他:誘導棒、掃除道具(トングなど)
六本木アートナイト2019における「紡音プロジェクト~六本木紡ぎ歩き~」ルート:5月25日(土)20時~
制作ノート
第2部 寸劇「六六(ろくろく)の日々」
日時
2019年5月25日 21:00~2:00 ※第1部に続く形で
2019年5月26日 13:30~14:30
場所 ヒルズカフェ
目的
・紡音プロジェクトの思いである六本木の街の未来について表現する。
・六本木アートナイトに来た方々へ「地元」の人たちの存在、生活、営み、を知ってもらう。
・今回のプロジェクトの主題である、音を使って場をつくることを試みる。
・「劇」は舞台上の人だけでなく、裏方も含めて皆で創り上げていく体験にし、交流を育む。
概要
プロジェクトのコアメンバーが、ヒルズカフェにてプレゼンテーションを行う。このプレゼンテーションには、寸劇、音空間、映像、写真、解説、といった要素が含まれる。六本木の街の特徴である、対峙する2つのものとして、ステレオタイプな印象(喧噪、無機質、繁華街、など)とは異なり、静かな生活(営み)もここには同居していることなどの六本木の日常を、観客に伝える。そしてひいては、そこに表現される六本木の日常や在り様が、未来に引き継がれていき、街の捉え方の変化、観客が街へ愛着を持ってくれることを目指す。
内容・編成
・過去の映像を背景に投影しながら、現在のプレゼンテーションを舞台前で行い、過去と現在という時間差を生みつつ、両者を表現する。
・早朝の六本木ヒルズ、静かで小鳥の声がにぎやかに響く中で、住民がひとりたたずむ姿を見せ、六本木の静かな朝を表現する。
・井戸、エレベーター、という生活で必然的に他の住人と顔を合わせ、場合によってはコミュニケーションが生まれる場所を舞台にする。
・喫煙所でのコミュニケーションを表現する。
・公園、犬の散歩、朝市、稲作、夏祭り、もちつき、美術館・展望台、といった日常生活でのコミュニケーションの場と1年間の四季折々のイベント(これもまた、コミュニティの場)、心が憩う場を表現する。
●「六本木アートナイト2019」https://www.roppongiartnight.com/2019/

参加アーティスト 西原 尚

1976年生まれ。音を主軸に、美術制作とパフォーマンスを行なっている。音を鳴らすために必要な体や物へと関心事項や制作動機は展開し、同時に活動領域は美術や音楽を横断し拡張している。国内外の展覧会やパフォーマンスイベントに参加。主な展示「KANGKANGEE Arts Village Project」(屋外常設展示、韓国釡山、2018年)、「この音がずっと響きますように」(個展・パフォーマンス、広島、広島市現代美術館、2017年)、「六本木クロッシング 2016」(森美術館、東京、2016年)

© Copyright Mori Building Co., Ltd. 2024 All Rights Reserved..