プロジェクトについて
About Project
コンセプト

つむぐプロジェクトは、 「まちと美術館のプログラム」 として街に参加するあらゆる人々がアートをより身近に感じられる場としてスタートしました。街と一緒に歩んできた人々の思いを丁寧に拾い集め、交流し、表現することで参加者が新たな発想を得、ひいては豊かな生活の実現につながることを活動の軸としています。
また同時につむぐプロジェクトは森美術館にとって六本木ヒルズのコミュニティと直接関わりを持つ初めて且つ継続的なプロセス重視型のプログラムです。

Photo:Tayama Tatsuyuki
プロジェクトについて

「つむぐプロジェクト」は、地域コミュニティと直接的な関係を築き、長期にわたって実施するプログラムです。活動のプロセスを重視し、時間をかけて関係性を深めていくことを目指します。そのために、コミュティ形成では欠かせない、関わる人すべてに共益をもたらすことを念頭におく「コミュニティ・エンゲイジメント(以下CE)」という理念、戦略・方法が適用されています。CEは、まず、多文化・相利共生を理想とし、横断的に社会、地域コミュニティ、生活環境を整備・調整することを指針とします。個人の意見の相違を尊重するのみならず、コミュニティに参画するさまざまな組織のありようを理解し、そこから共通意識を見いだす作業を繰り返すことで、最終目的である社会、地域コミュニティの醸成を促します。 さらに参加者はそれぞれの専門性や得意分野を生かした役割を掘り起こし、プロジェクト自体に愛着や誇りを持って接し、また情熱・プライドを持って能動的に関わることで、活動に対するオーナーシップが芽生えます。仮に、旧態的なヒエラルキーがコミュニティの相利共生の足かせになっているのであれば、その上下関係の双方を結びつける新たな関係性を築き、持続させることによって、コミュニティの醸成を促すという特徴もあります。 エンゲージメントの語源は、哲学者ジャン=ポール・サルトルが提唱した「アンガージュマン」の定義に近く、「参加・関わり」などの意味を示すと同時に、自ら選択し、行動するという「現実そのものに関わっていく生き方」という態度も含むといわれています。


一方で、この企画をアートプロジェクトと位置付ける源流には、ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)が提唱した「社会彫刻」という理念、芸術概念にあります。これは、アーティストを「自ら考え、行動する人」と説き、すべての人が役割や意志をもち行動することで、社会をつくる・変える=彫刻するという考えです。特別な人のみがアートに触れ・関わるのではなく、誰しもが備えている能力や役割に意識・誇りを持ち、生活・行動することで、よりよい社会、地域コミュニティが創成されるのではないでしょうか。ボイスの理念は、CEの原則・特徴にもみられる多様性を重要視するものであり、この理念を現代におけるコミュニティ形成の模範的な人材育成をするフレームだと解釈されています。 つむぐプロジェクトでは、この社会彫刻的概念の構造を応用しながら、人それぞれの個性、世代の継承、そして多様な地域性に焦点を置き、アートを通じて緩やかに人々が交流し、関係を深めることで発展するアートプロジェクトの実践につなげています。

菊池宏子 (アーティスト・NPO法人インビジブル クリエイティブ・ディレクター)

米国在住20年を経て、2011年帰国。アーティストの立場から、ワークショップ開発・ボランティア育成プログラム戦略・開発を始め、課題解決型のアートプロジェクト、地域再生事業に多数携わっている。

企画協力 NPO法人インビジブル

NPO法人インビジブルは、「invisible to visible(見えないものを可視化する)」をコンセプトに、アート、文化、クリエイティブの力を活用した地域再生、コミュニティ開発、教育などの領域を跨いだプロジェクトに取り組み、時代や状況に合ったカタチで、持続可能な豊かな社会を創ることを目指す活動をしています。

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