Interview
社会をしっかりと考えた上で
作られているもの = 本物
- 編集長という職業上、さまざまなアイテムを目にし、ピックアップしていく機会は無数にあると思いますが、もの選びのプロとして心がけていることはあるのでしょうか?
- 田中(以下T):モノを手にするのは、私の中の“何か”に引っかかる部分がある時なのですが、本当にたくさん色々なものを見てきているので、それが何故自分の中で気になるのかが、自分でもよく分からなかったりします。でも改めて考えてみると、形状や色の美しさ、見たことのないデザイン…そういったモノが持つ力に惹かれていると思うんです。同じようなアイテムが並んでいてもまったく目に入らないこともありますし、むしろそういうことの方が多いです。一点一点を細かく見るというよりも、“何か”目に飛び込んでくる部分があるかどうか。それが結果的にモノの持つ力、美しさ、良さなどに繋がっているのかなと思います。
- 今回は、“品格を持った本物の夏小物”というテーマで六本木ヒルズのショップの中からアイテムを選んでいただきました。田中さんが考える“本物”とはなんでしょうか?
- T : 難しいのですが、“本物”って確実にあるんですよね。本物について私なりに考えてみると“ひとりよがりな思いではなく、社会をしっかりと考えた上で作られているもの”が本物と言えるのではないかと思います。例えば、長く続いているブランドが作るものは本物だと思います。「社会をしっかりと考えて作られている=本物」であるからこそ長く愛され続けているんですよね。だからと言って、3年前に立ち上がったブランドが本物ではないのかというと、そうではない。職人や技術を絶やさないよう配慮していたり、地球環境負荷への意識や拘りがあったり、周りや地球のことを考え生まれたものが本物なのかなと思います。今回セレクトしたアイテムもデザインや色が素敵なこともありますが、深く調べていくと、やはり拘りを持って作られたものばかり。なぜ選んだのか納得がいきます。