Interview
引き算より足し算のアイテムに
強く惹かれます
- 日々多くのブランドのいろんなアイテムの中から選び、誌面を構成していく編集長という職業はもの選びのプロだと考えています。もの選びのプロとして、アイテムを選ぶ時に心掛けていることはありますか?
- 石井洋(以下I):近年、ファッションについて語られる時、とかく“引き算”、“シンプル”といったキーワードが最上であると捉えられがちですよね。ミニマルな装いは素晴らしいのですが、似合う人を選ぶことも多いので、もっと楽な気持ちで、自分の心がちょっとでも踊るアイテムを選んで欲しいと思い、『LEON』では“引き算より足し算”と考えて誌面を作っています。ですので、ものを選ぶ上では、“一点遊びの要素が入った他と違うもの=プラスアルファのデザインやギミックがある足し算のアイテム”に強く惹かれますし、そういうものを特に日本の大人の男性には身につけて欲しいと思っているんです。今回ピックアップしたアイテムもそんな要素が備わっているという目線で選ばせてもらいました。僕たちは自分たちの雑誌を“消費活性化マガジン”と勝手に言ってるんですけど、やっぱり何かを手に取って欲しいし、買って欲しい。そのためには引き算より足し算のアイテムなんですよね。
- 編集長という仕事上、トレンドということを考えることも多いと思いますが、今季ファッションシーンではどのような流行があると感じますか?
- I : 『LEON』は、読者にメリットがあると思えるものを推していくことを基本姿勢としているので、あまり雑誌の中でトレンドという言葉を使わないようにしているんです。ただ今回選ばせてもらったアイテムは、ぱっと見の品の良さみたいなものは共通していると思います。時代的に好まれていると思いますし、上品なアイテムを身につけることで生まれる心地よさってありますよね。そして、そこからさらにワンステージ上がって、身につけることによって自分の気持ちが高揚して、“どんなことをしたいか”、“どこに行きたいか”、そこまでが見えるアイテムを推したいと思っています。みんな心のどこかでそういうものを求めているんだろうと思いますし、それがトレンドといえばトレンドなのかもしれませんね。