大人の男なら、パリッとスーツも着こなした
い。だからと言って、周りと同じではつまら
ない。ルールをわかった上で、遊び心を持っ
て着崩すのが“粋”というもの。上質を知る大
人に向け、本物を知り抜く各界のクリエイタ
ーへインタビューを行っていく連載第8回。

大人の男なら、パリッとスーツも着こなしたい。だからと言って、周りと同じでは
つまらない。ルールをわかった上で、遊び心を持って着崩すのが“粋”というもの。
上質を知る大人に向け、本物を知り抜く各界のクリエイターへインタビューを行っ
ていく連載第8回。

今回はスーツで撮影を行うことでも知られる
人気フォトグラファー、
長山一樹さんに優雅
なスーツと気の利いた小物を提案してもらい
まし
た。華やかで、自由で、気品があって。
余裕のある大人の集う街、六
本木ヒルズなら
ではの洒落たプロダクトに注目です。

Beauti-Full Things KAZUKI NAGAYAMA

Interview

ビジネススーツとは真逆の
自由な世界が自分に合う

六本木ヒルズらしい上質を知る大人に向けて、長山さんにスーツと小物を紹介していただきます。アイテムについてお聞きする前に、長山さんは撮影でも常にスーツを着られているほどのスーツ愛好家として有名ですが、そのスタイルはどのように生まれたのでしょうか?
長山一樹(以下N5年ほど前に“やりたいことを片っ端からやろう”と決めて、実行した時があったんです。その項目の一つに「スーツを作る」こともあったんです。昔からスーツというものに憧れがあったんですよね。体も大きいので既製品では合わないことは知っていましたし、ガチガチのブリティッシュというより、ちょっとゆったりしたスーツが格好いいなと思っていました。最初はラルフ ローレンのダブルを作ったんですが、割とイメージに近いものができて、楽しくて、そこからハマってしまいましたね。最初は撮影現場に着ていくと、“タイドアップしてどうしたの?”とよく言われましたが、それが意外と心地よかったんです。コミュニケーションツールとして声をかけてもらうきっかけにもなっていますし、“スーツが好き”という印象も伝わっていると思う。撮影に全く支障もないですし、何より“スーツを着なければよかった”と思う日がなかったんですよね。周りの印象もいいし、どこに行っても信用の近道が既にできている。それがスーツの強さだと思います。狙ったわけでないですが、“好きなスーツで自分が表現できるのならいい”と思いましたし、“どうせやるなら徹底的にやろう”と思い、オンもオフもスーツで過ごすために色々な生地で作り続けています。
長山さんといえばダブルのスーツが印象的ですよね。そのルーツはどこにあるのでしょうか?
N : 初めてスーツを作る前から80sのアルマーニや60sのアメリカンな自由な雰囲気に憧れがあったんです。体の大きい人が、ちょっと長めの着丈で、ざっくり着ているスタイルが格好いいなと思っていたんですよね。あと単純にカメラマンがシングルのスーツを着ていると、かっちりしすぎて見えてしまうというのも理由の一つです。ダブルのジャケットを前を開けて着れば、スーツをピシッと着ているというより、カーディガンを羽織ってるくらいのラフな感じにも見えるし、ポケットに手を突っ込んだ時の佇まいも、いい感じにこなれて見える。体形もそうなんですが、かっちりしたビジネススーツとは真逆の自由な世界が自分に合うなと思ったんですよね。
今回アイテムを選ぶにあたって、テーマやコンセプトはありましたか?
N : 自分が本当に欲しいと思うものを素直な気持ちで選びました。お店によって、国もテイストもバラバラですが、どこか“艶のない感じ”は共通しているかもしれないですね。六本木と聞くとちょっとギラッとした街のイメージがありますが、いい意味で六本木っぽくない、艶のないクラシック感のあるものに惹かれました。

Beauti-Full Things KAZUKI NAGAYAMA

いい意味で今っぽくない
クラシックな佇まいがいい

「“スティレ ラティーノ”というブランドのスーツです。デザイナーが“アットリーニ”というナポリの超名門テーラーの長男なんですよね。クラシックの精神を持ち合わせているけれど、いつもちょっと新しいことにチャレンジしている、そんなブランドです。“ビームス”は昔からこのブランドを推していましたね。生地はザ・オーセンティックな厚手のグレーフランネル。今、イタリアでは丈が短くてラペルも細い、しゃがめないくらい細身のスーツがトレンドなのですが、このスーツはいい意味で今っぽくない、クラシックな佇まいがいい。いやらしさがないので、ずらっとスーツが並んだコーナーの中でもパッと目に止まりました。」

  • Suits ¥352,000
  • [STILE LATINO]

BEAMS ROPPONGI

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  • [STILE LATINO]

いい意味で今っぽくない
クラシックな佇まいがいい

「“スティレ ラティーノ”というブランドのスーツです。デザイナーが“アットリーニ”というナポリの超名門テーラーの長男なんですよね。クラシックの精神を持ち合わせているけれど、いつもちょっと新しいことにチャレンジしている、そんなブランドです。“ビームス”は昔からこのブランドを推していましたね。生地はザ・オーセンティックな厚手のグレーフランネル。今、イタリアでは丈が短くてラペルも細い、しゃがめないくらい細身のスーツがトレンドなのですが、このスーツはいい意味で今っぽくない、クラシックな佇まいがいい。いやらしさがないので、ずらっとスーツが並んだコーナーの中でもパッと目に止まりました。」

永遠に買うことができない
幻の憧れのシューズです

「カメラマンという仕事柄、スタジオで靴を脱ぎ履きする機会も多いんですが、そんな時にローファーって便利なんです。特に“オールデン”のローファーをよく履いていますし、昔からビームスが別注してリリースしているこのスリッポンも、“いいな”とずっと思っていました。何の装飾もなくシンプルで、ソールがついていなかったらルームシューズかと思うほど。ある意味究極のミニマリズム。それがいいんですよね。ただ僕のサイズの10.5インチ(28.5~29cm)の展開がない。永遠に買うことができない、僕にとって幻の憧れのシューズです。サイズがあれば絶対に手に入れたいと思っているので、作ってほしいと切に願っています。」

  • Shoes ¥92,400
  • [ALDEN]

BEAMS ROPPONGI

  • Shoes ¥92,400
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永遠に買うことができない
幻の憧れのシューズです

「カメラマンという仕事柄、スタジオで靴を脱ぎ履きする機会も多いんですが、そんな時にローファーって便利なんです。特に“オールデン”のローファーをよく履いていますし、昔からビームスが別注してリリースしているこのスリッポンも、“いいな”とずっと思っていました。何の装飾もなくシンプルで、ソールがついていなかったらルームシューズかと思うほど。ある意味究極のミニマリズム。それがいいんですよね。ただ僕のサイズの10.5インチ(28.5~29cm)の展開がない。永遠に買うことができない、僕にとって幻の憧れのシューズです。サイズがあれば絶対に手に入れたいと思っているので、作ってほしいと切に願っています。」

ルールをはみ出しても
遊びでやっているのがわかる

「ネクタイって難しくて、スーツが決まっていてもネクタイ選びを間違えると急に古臭くなってしまうんです。でも“ドレイクス”のネクタイの柄は、オーセンティックな雰囲気の中にユーモアもあって、非常に使いやすい。作っている人のセンスが抜群にいいから、昔から好きなんです。あと、小剣がちょっと長く、細くくびれて作られているのもポイント。ネクタイの小剣って大剣に隠すのがセオリーなんですが、イギリスの洒落者たちはあえて小剣を見せて垂らして付けているんです。それがまた格好いい。垢抜けたデザインなので、ルールをはみ出しても、遊びでやっているのがちゃんとわかるんですよね。艶のない素材感も僕の好みです。」

  • Tie ¥25,300 top
  • Tie ¥22,000 bottom
  • [Drake’s]

DESIGNWORKS deuxcotes

  • Tie ¥25,300 top
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  • [Drake’s]

ルールをはみ出しても
遊びでやっているのがわかる

「ネクタイって難しくて、スーツが決まっていてもネクタイ選びを間違えると急に古臭くなってしまうんです。でも“ドレイクス”のネクタイの柄は、オーセンティックな雰囲気の中にユーモアもあって、非常に使いやすい。作っている人のセンスが抜群にいいから、昔から好きなんです。あと、小剣がちょっと長く、細くくびれて作られているのもポイント。ネクタイの小剣って大剣に隠すのがセオリーなんですが、イギリスの洒落者たちはあえて小剣を見せて垂らして付けているんです。それがまた格好いい。垢抜けたデザインなので、ルールをはみ出しても、遊びでやっているのがちゃんとわかるんですよね。艶のない素材感も僕の好みです。」

納得できるTシャツに
ようやくたどり着いた

「僕にとってTシャツってシャツの下に着るインナーなんです。良いTシャツを求めて色々試し続けてきましたが、生地が薄すぎたり、丈が短かったりして、ベストなものには出会えていなかった。でも“ユナイテッドアローズ”で見つけたこの“サンスペル”との別注パックTは本当にいいです。実際に購入し、着ているんですが、本当に丈夫で、仕立てがちゃんとしている。特に首周りは今まで着てきたパックTの中で一番しっかりしてますね。程よく幅もあるし、1枚で着るTシャツとして完璧。インナーとしてはもったいないくらい(笑)。多少値は張りますが納得できるTシャツにようやくたどり着いたと思える、まさに大人のパックTです。」

  • T-Shirts[2pac] ¥17,600
  • [SUNSPEL × UNITED ARROWS]

UNITED ARROWS ROPPONGI

  • T-Shirts[2pac] ¥17,600
  • [SUNSPEL × UNITED ARROWS]

納得できるTシャツに
ようやくたどり着いた

「僕にとってTシャツってシャツの下に着るインナーなんです。良いTシャツを求めて色々試し続けてきましたが、生地が薄すぎたり、丈が短かったりして、ベストなものには出会えていなかった。でも“ユナイテッドアローズ”で見つけたこの“サンスペル”との別注パックTは本当にいいです。実際に購入し、着ているんですが、本当に丈夫で、仕立てがちゃんとしている。特に首周りは今まで着てきたパックTの中で一番しっかりしてますね。程よく幅もあるし、1枚で着るTシャツとして完璧。インナーとしてはもったいないくらい(笑)。多少値は張りますが納得できるTシャツにようやくたどり着いたと思える、まさに大人のパックTです。」

品があって可愛いから、
印象がいいんです

「スーツって決まったルールの中で何を合わせ、どう遊べるかが大切なのので、着る人のセンスが問われますよね。そういった意味では“シャルべ”の小物って本当に品があって可愛いから、重宝しています。今回ピックアップしたスリッパはシボ革のもの。僕が持っているのはスウェードのものですが、シボ革だと履き込むと味が出そうなので、次買うならシボ革だなと思ってます。“シャルべ”のスリッパを初めて買ったのはパリの本店にシャツを作りに行った時ですね。シンプルなデザインですが、上品でエレガントで他とは違うオーラがあるから、パッと目がいくんですよね。土足厳禁のハウススタジオで履いていると、“どこのスリッパ?”って本当によく聞かれます。この良さに気づいたのもスーツを着るようになったからですね。デニムの足元には絶対に合わないですから。

ブートニエルはスーツスタイルでオンとオフを切り替えるための小物として最適なんです。オンの時、気分を上げたい時、フラワーホールにちょっと飾るだけでだいぶ印象が変わります。本当は胸ポケットにチーフを差すのがセオリーだと思うんですが、チーフを入れるとちょっとパーティ感も出て仰々しく見えてしまう。だからと言って本物の花を差すとちょっとキザな感じもする。でもこれなら洒落て見えるし、程よく遊びのわかったカジュアルな雰囲気も出せる。ドットと地の色の配色が綺麗ですよね。シンプルなスーツにネクタイを派手にするだけだと大味だけど、ブートニエールをちょこっと入れるだけで“粋”になりますよ。

  • Slippers ¥49,500
  • Boutonniere ¥16,500 each
  • [Charvet]

UNITED ARROWS ROPPONGI

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品があって可愛いから、
印象がいいんです

「スーツって決まったルールの中で何を合わせ、どう遊べるかが大切なのので、着る人のセンスが問われますよね。そういった意味では“シャルべ”の小物って本当に品があって可愛いから、重宝しています。今回ピックアップしたスリッパはシボ革のもの。僕が持っているのはスウェードのものですが、シボ革だと履き込むと味が出そうなので、次買うならシボ革だなと思ってます。“シャルべ”のスリッパを初めて買ったのはパリの本店にシャツを作りに行った時ですね。シンプルなデザインですが、上品でエレガントで他とは違うオーラがあるから、パッと目がいくんですよね。土足厳禁のハウススタジオで履いていると、“どこのスリッパ?”って本当によく聞かれます。この良さに気づいたのもスーツを着るようになったからですね。デニムの足元には絶対に合わないですから。

ブートニエルはスーツスタイルでオンとオフを切り替えるための小物として最適なんです。オンの時、気分を上げたい時、フラワーホールにちょっと飾るだけでだいぶ印象が変わります。本当は胸ポケットにチーフを差すのがセオリーだと思うんですが、チーフを入れるとちょっとパーティ感も出て仰々しく見えてしまう。だからと言って本物の花を差すとちょっとキザな感じもする。でもこれなら洒落て見えるし、程よく遊びのわかったカジュアルな雰囲気も出せる。ドットと地の色の配色が綺麗ですよね。シンプルなスーツにネクタイを派手にするだけだと大味だけど、ブートニエールをちょこっと入れるだけで“粋”になりますよ。

六本木ヒルズに並ぶお店から、スーツアイテムを選んでいただきましたが、六本木ヒルズは普段から来られますか?
N : “ユナイテッドアローズ”と“バルバッコア”によく来ますね。美術館や映画館、蔦屋書店やスターバックスにもよく来ますよ。
六本木ヒルズにどんなイメージを持っていますか?
N : こういった複合商業施設の中では、オープンしたのが一番早かったですよね。クラシックな感じすらあります。ずっとあるお店は景色として馴染んでいますし、見るとほっとします。大人になると必要な情報に直結したいと思うようになりましたが、六本木ヒルズなら車で来て、パーキングに停めれば、買い物も、お茶も、ご飯も楽しめるし、欲しい本も探すこともできる。必要な要素が集まっているから本当に楽だし、便利ですね。
車で来ることができるのも大きいですね。
N : そうですね。僕は常に車で動いているんですが、都内で車を停めるところを見つけるのは苦労しますからね。六本木ヒルズって20代の時は“頑張って行く場所”というイメージがあったんですが、大人になると逆に“行きやすい、楽な場所”という風に変わってきましたね。親しみやすさもありつつ、ちゃんと上品なものが手に入る。ミドルの大人の場所ですね。これ以上高級な場所だと、子供を連れて来られなかったりしますし、そうなると自然と足を運ばなくなってしまいますからね。子供もウェルカムだし、奥さんはショッピングもできる。本当に大人にとってちょうどいい場所です。
  • 表示されている価格は全て税込です。
  • 掲載情報は2022831日現在の情報となり、
    内容は予告なく変更になる場合がございます。

長山 一樹

ハットにスーツというスタイルで撮影を行う人気フォトグラファー。「THE FIRST TAKE」をはじめ、さまざまなファッション誌や広告などで活躍中。老舗カメラメーカー「ハッセルブラッド」のジャパン・ローカルアンバサダーとしても活動している。