Interview
「装う」ことは
自分を幸せにしてくれるもの
- 「装う幸せ」をテーマにスタリング、アイテムを提案いただきました。スタイリストとして活躍され続けている青木さんは、「装う」ことをどのように考えてきましたか?
- 青木 千加子(以下A):「装う」ということについては、私の中でもずいぶん変化してきました。20代のアシスタント初期は動きやすく、汚れが目立たない黒か紺のパンツスタイル。必死に仕事をこなす自分にはぴったりでした。スタイリストになってから「装う」ことは、鎧を纏うような感覚に。“流行をうまく取り入れ、読者を魅了させるような世界観を表現したい”、“自分がどれだけセンスがあるか、トレンドに敏感であるかを装うことでアピールしたい”。そんな思いを持ち、流行りのブランドを一つでも身に付けていれば、どんな現場でも戦える自信が持てた心に余裕のない時代でした。そして今、紆余曲折を得て、「装う」ことは自分を幸せにしてくれるものだと実感しています。ブランドの持つバックグラウンドやデザイナーの想いに触れることもあり、感銘を受けることも多々あります。29年間スタイリストとして年齢を重ねてきた今だからこそ、自分なりの価値観を持って、装うことを楽しめていると思っていますし、どんな自分にもなれる気がします。
- 「装う幸せ」とはどのような時に感じますか?
- A : “今日はこれが着たい”と思ったものを着られることが一番の幸福なのですが、年齢を重ね、それが簡単なことではないと実感しています。だからこそ体調管理と体型維持には気を遣います。余裕がないと思う時もありますが、そんな日こそ好きな服を纏って、背筋を伸ばせるくらい少し幸せになってから、最初の一歩を踏み出したいですから。
- 「装う幸せ」とは、表面的に良い洋服を選ぶだけでなく、豊かなライフスタイルにつながる自分の内面を大切にするマインドが重要かと思います。青木さんが日々の生活を送る中で心がけていることはありますか。
- A : 自分を俯瞰で見ること、情報に振り回されず自分の「これが好き」という気持ちに従うことですね。そして何よりスタイリストという仕事をまっとうすること。モデルや女優さんが、私のスタイリングでふと笑顔になってくれることが私の幸せの源です。
- これから夏を迎えますが、大人の女性が夏のスタイリングで気をつけたいポイントはどこでしょうか?
- A : まずは背筋ですね。携帯ばかりを覗き込まず、どんな洋服も背筋を伸ばして着てほしいです。また、夏は一辺倒なスタイリングになりがちですが、個性を活かすためにシルエットと色のバランスに気を遣ってほしいですね。流行だけを追い求めるのではなく、たくさん試してみて自分に似合う色を見つけてほしいです。まずは私物のベーシックカラーにトレンドカラーを1色だけ組み合わせてみると新鮮にまとまると思います。