Interview
心地よさから一歩前に出て、
装うことで前向きに
- 上質を知る大人に向け、秋に向けたアイテムを選んでいただきましたが、どんなテーマで選ばれましたか?
- 小栗裕子(以下O):この2年間、新型コロナウイルスの影響でファッションにもかなり変化がありましたよね。単純にお出かけする機会がなくなり、“着やすい”、“履きやすい”という機能性あるコンフォートなアイテムがすごく求められていましたが、今季くらいからは外出する場所やオケージョンがあるかどうかは別として、“装うことによって高揚感を得たい”というニーズが増えていると感じますし、私自身もそういったアイテムに魅力を感じています。靴一つとっても実用的で過ごしやすいものとは違う、純粋にファッションとして、装いとしての力があるもの。今回選んだアイテムはそういった力を備えたものが中心となっています。単純に可愛いな、と思ってるものも入っていますが(笑)。
- 編集長という職業は常日頃から多数のアイテムを目にされ、その中から本物を見抜く“もの選びのプロ”だと思いますが、小栗さんがものを選ぶときに心がけていることはありますか?
- O : トレンドだけを追わないということですね。雑誌とデジタルでも視点は違いますが、世界的にみてもファッションのトレンドはこの数年でかなり多様になってきていて、ファッション媒体でも「いま買うべきはコレ!」といった表現は減ってきたと思います。『Harper’s BAZAAR』はファッションの王道の媒体ですが、もの選びや企画を考える際に、包括的トレンドを追い求めることはしていません。“ヴィジョナリーで、自分と社会の関わりを持った自立した女性たち“に向けたターゲティングメディアとして、彼女たちのライフスタイルに寄り添いながら、時代のムードを合わせて独自の視点でレコメンドし、アイディアを厳選して提案するのが私たちの役割。そして、その提案に一貫性があること、言葉の選び方や写真の撮り方など、伝わりやすい表現であることも重要だと考えています。