Interview
メイクは綺麗になる手段だけでなく
ライフスタイルの一部だと思う
- 早坂さんは90年代からさまざまな肌質や肌色の方にメイクをされ、特に日本人に合う抜け感や透け感のあるメイクを得意とされてきていますが、2022年の秋を迎え、今のメイク、ファッションにはどういったムードがあると思いますか?
- 早坂香須子(以下H):今季はファッション撮影をしていても黒をテーマにした洋服がすごく多いなと感じます。自分でも黒を選ぶことが最近増えたんです。ベーシックなものを好むムードなんでしょうね。こうした黒のような暗い色の服を着るときに、作り込んだメイクをしてしまうと、気合いが入った感じが出てしまうので、そこに抜け感をどう作っていくかが重要になってきます。今年はすごくフレッシュでヌーディーな肌質のメイクが多くなっているように感じますね。でも何より多様性というか、その人の個が出るようなメイクが多いなと思います。かつては美白信仰や太眉一辺倒な時代もありましたが、今は美の規格が本当に多様化している。もし眉毛が薄かったら、逆に消してしまうぐらいの遊び心があります。肌作りもミニマルになっていますね。隠すのではなく、質感を活かしてヌーディーにしつつ、少しだけ華やかなシャイニーさを加えてみるなど、本当に多様で色とりどりですね。
- 上質を知り、余裕のある華やかな大人の女性に向けてアイテムを選んでいただいたわけですが、早坂さんの考える大人な女性とはなんでしょうか?
- H : 好きなものに対してまっすぐで周りに左右されない女性だと思います。でも“頑固”ということではなく、上手にSNSを使ったりしながら、トレンドを自分のライフスタイルに落とし込んで、末長く愛せるかジャッジができる人。選ぶときのしなやかさがある人も素敵です。ネイルひとつ取ってみても、“普段つけない色は買わない”と淘汰せずに、気持ちにまかせてみるようなしなやかさ。一見無駄に思う物にも、価値を感じたら投資できるようなひとが、余裕のある女性が大人だと思います。
- 今回アイテムを選ぶにあたって、テーマやコンセプトはありましたか?
- H : 心が“きゅん”とするかどうかが一番大事。そして環境との関わりなど、ブランド背景も大切にしています。ファッションもそうだと思うんですけど、お気に入りのセーターとかコートとかがあれば、それだけでもすごくワードローブが楽しくなるじゃないですか。同じようにビューティーも自分だけのトレンドがあっていいと思います。また、作る過程での透明性に共感したいという思いもあります。心が喜ぶものを選ぶことで、誰かの幸せに繋がっていくような世界になると良いな。そんなことを考えながらヘアケアからネイルまで幅広く選びました。